「柔道部 隠ぺいされる暴力」記事の掲載後、記者のもとには多くの意見が寄せられた。匿名の情報提供も多い中で、首都圏の柔道強豪校(高校)の元柔道部員A氏(30代)が取材に応じ、上級生からの暴力、不正を告発した部員への指導者の対応、柔道部員らの寮生活など、世間ではあまり知られていな柔道部の実態について語ってくれた。
◇◆◇1日の自由時間が10~20分◇◆◇
(三上)まず簡単にご経歴からおうかがいします。
(A氏)私が柔道を始めたのは小学1年生からです。小学5年生の時には、高校生と練習したり、警察の柔道場ではおとな相手に稽古したりしていました。中3の時には、県大会で優勝し、全国大会にも出場しました。
(三上)中学を卒業されて、進路はどのように考えられましたか。
(A氏)私が小学6年の時、柔道の私塾「講道学舎」から誘いを受けています。その誘いは受けませんでしたが、中3の時にはさらに10数校の高校から「特待生」としてオファーがありました。その中には東海大学相模高校の名前もありました。私の友人(Bさん、後述)は記事でも取り上げられた東海大学相模高校に進学し、私は別の高校に進学しました。進学先の柔道部は強豪でしたが、あとで述べるような実態に嫌気がさし、高校時代で柔道はやめてしまいました。
(三上)柔道の特待生というのは、基本的に寮生活を送るのですね。その寮での生活とは、どのようなものだったのでしょうか。
(A氏)特待生が寮生活を送るのは、柔道だけではなく、野球部などもみんなそうです。私の高校では寮は4人部屋でした。大学でも似たような比喩を聞きますが、高1は〈アリ〉、高2は〈人間〉、高3は〈神様〉というのが、寮での"身分制"で、高校1年生は人間扱いされないのです(笑)。
風呂の掃除や準備、食事の盛りつけ等生活にかかわるほとんどのことを、下級生である高1年生がやります。生活はだいたい次の通りです。朝6時に起床、6時10分から7時半まで朝練習、7時半から掃除をして8時までに食堂に行きます。急いで食事をしますが、高1年生は配膳や後かたずけもするので、8時半からの授業に間に合うように必死です。
授業が3時半に終わって4時までに道場に行きます。4時半からの3時間が練習です。そのあと夕食を食べ、風呂、そして夜9時には消灯になります。1日の中での自由時間は、だいたい10分か、20分程度だったように思います。
(三上)その生活が週7日、365日続くのですか。
(A氏)私の通っていた高校は月に1回休みがありました。それから正月は4日程度、夏も5~6日は練習の無い日がありました。〔注1〕
(三上)正月や夏に休みがあっても、それ以外はまさに柔道漬けの生活ですね。
(A氏)東海大学相模高校に行った友人(前出Bさん)の場合、柔道部にシドニーオリンピックで金メダリストになった井上康生選手(当時、以下同じ)が在籍していました。井上選手は、すでに中学3年の時に、当時の東海大学相模高校のインターハイに出場した高3生を難なく投げ飛ばしたぐらい強かったと聞いています〔注2〕。
その井上選手は、年に数日しかない休みの時も、部員をつかまえて練習に明け暮れていたそうです。だから、友人Bらは、練習が無い日は井上選手につかまらないように…こっそり寮から出て行ったらしいです(笑)。
◇◆◇あき缶ひろいで赤点救済!?◇◆◇
(三上)いまうかがった1日のタイムテーブルを見ると、まさに「柔道一色」、そうした生活の中で、学業はどのようにしていたのでしょうか。
(A氏)特待生は、学校から「来て欲しい」と請われてその学校を受験するのですから、入学試験が課されるような場合でも、答案に名前だけ書いて出せば通るのです。私と同じく特待生として高校入試を受けた友人は「開始10分で寝た」と言っていますが、だいたい特待生の実態はそんなものです。
ふだんの授業も、それなりの練習をしているのですから、授業中は眠くなります。当然、学校の中間・期末試験では厳しい点数…つまり赤点は避けて通れないことが多いです。
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(三上)補習などがあるのでしょうか。
(A氏)簡単に補習を受けて、たとえば教科書の指定されたところをレポート用紙に書いて提出という学校もあるようですね。私が知っている、ある柔道の名門校では、合格点に足りない分だけ、校外で空き缶を拾って来る……つまり、清掃活動をすることで、赤点を救済する…というような高校もあります(笑)。
柔道の特待生というのは、別に学業で期待されているわけではなく、柔道の技量を見込まれて、つまり「大会で結果を出す」ための要員として入学して来るわけですから、学校としても、そのあたりのことはよくわかっているのです。監督も口では「おまえら、勉強せいよ」とは言いはしますが、さきのタイムテーブルを見ても、相当ハードな生活ですし、そもそも勉強する時間が取りにくいのです。
もちろん、中には柔道をやりながら勉学にも励み、勤勉な受験勉強の結果、国立大学に進学した者もいます。ただ、そういうケースはきわめてまれだと思います…。
◇◆◇道場での、サバイバル競争◇◆◇
(三上)さて、その「大会で結果を出す」ことについて、道場での実態についてお聞きします。
(A氏)柔道部では、お互いに切磋琢磨して励まし合い、助け合って練習に励むという雰囲気はありませんでした。言わば〈サバイバル〉、生き残りをかけた生存競争でしたね。途中で怪我をした選手は「飼い殺し」です。それだけではなく、監督に気に入ってもらえないと使ってもらえない…ということもありました。例えば、寝技がめっぽう強くて、寝技で勝っているような選手でも、指導者が「立ち技」好みだと使ってもらえない…というようなことです。だから、最初にそういう柔道部の練習を見た時に「こういう練習で、はたして楽しいのかな?」とも思いました。
(三上)「飼い殺し」とは具体的にはどうされるのですか。
(A氏)だいたいどこの柔道部でも、同じ練習メニュー(例 立ち技)でも3~4つのグループに分かれて練習します。大会に出るような選手は、いちばん上のグループで中身の濃い練習をするのですが、監督に気に入られないと、高3なのに、たとえば高1生あたりのグループで練習させられるのです。こういう扱いになれば、当然試合にも出してもらえません。試合に出て活躍する場が無いのですから、……それで選手としては実質的に終わりですね。
(三上)そういう中での上級生からのいじめの類いもあったのでしょうか。
(A氏)特待生というのは、ある種のエリート意識もあります。それから試合で結果を出さなければいけないという重圧もかかっています。ですから、16~18歳とは言え、ストレスがものすごいのです。
私は一度、先輩からいきなり腹を傘で刺されたこともあります。その先輩は関東大会3位に入ったこともある選手でしたが、怪我から思うように柔道ができずに、イライラから私に当たって来たのだと思います。さきほど、寮生活での〈身分制〉の話をしましたが、高1年生は「アリ」なので、人間に踏みつぶされても文句が言えないのです。
◇◆◇締め落とされる下級生部員◇◆◇
(三上)上級生らの、そういう理不尽なふるまいや暴力行為は、どこかに訴え出ることはできないものでしょうか。
(A氏)一度、高1生が、上級生の大会での成績について不安を口にしたことがありました。例えば「次の試合で勝てるのだろうか…」といったことです。すると、それを聞いていたある高3生が激高し、その高1生部員を締め落としたのです。落ちる(注:失神する)と、蹴飛ばしては目覚めさせ、また締め落とし、また蹴飛ばしては締め落とす…というようなことをやっていました。その時、そばに指導者はいたのですが、「ほどほどにしておけよ~」ぐらいのものです。
その高1生は何度も締め落とされて小便をもらしていました。また、その時の後遺症で「落ちグセ」がついてしまったほどです。その様子を見かねたある部員が、「もうやめて下さい。それ以上やるのなら、ぼくを締め落として下さい」と懇願して、ようやくその高3生は、下級生への暴行をやめたのです。指導者がそんな調子ですから、どうしたって「その程度ならやっても構わない」という暴力容認の空気が生まれますよね。
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(三上)今年の3月には、福岡県久留米市立南筑高校(重富義光校長)で2年生の柔道部員らが部室などで後輩部員の首をタオルで絞めて何度も気絶させ、その様子を別の部員が携帯電話で動画を撮影していたことが報道されました。この5月には、東海大学相模高校でもリンチ(集団暴行)事件が起きていますが、監督の立場にある指導者らは、「そんなことがあったのですか…?」と一時はとぼけていました。日本オリンピック委員会強化スタッフや全日本柔道連盟男子強化委員も務める、林田和孝柔道部総監督(柔道7段)がその人です。
◇◆◇不正を告発した部員が自主退学に!◇◆◇
(A氏)東海大学相模高校の林田監督ですか……、私も知っています。それに関連して、私の友人Bの実際にあった話を紹介します。Bは東海大学相模高校柔道部に在籍しており、道場でのいじめや寮生活でのできごとにショックを受け、いくつかのこのましくないできごとを「日記」ふうに書きとめておいたそうです。
たとえば、寮では一部の上級生が下級生に男性化粧品などを要求します。その要求が過酷なために、下級生はつい"悪事"を働いてしまうこともあったそうなのです。そうした実態を綴った「日記」を、Bは林田監督に直接提出したのです。
ところが、そのことについて、結局、林田監督からは、柔道部員に対して何の指導もなかったそうです。そのために、友人のBは柔道部に居づらくなり、とうとう高校1年の秋に高校を中退してしまいました。
(三上)つまりは、この5月のリンチ(集団暴行)事件と体質は変わっていませんね。部員らによる不祥事・不品行→指導者による黙認・隠ぺい→暴力体質の蔓延(まんえん)……という悪しき連鎖です。正しいことを言っている部員が不利益をこうむる、暴力の被害者が声をあげにくい…というのは、何とも残念な状況です。
せっかく柔道の腕前を買われて高校に入学し、しかも、指導者が知れば当然正さなければいけない暴力や社会的に許されないことを、部員がわざわざ指導者に進言しているわけです。それにもかかわらず、指導者が、その正義の訴えに耳を貸さず、かえって、正しいことを言った高1年生部員が学校を去らなければならなくなる…というのは、どう考えても道理に合いませんね。
(A氏)…そうですね…。でも、寮生活の中でのそうした不祥事をすべて厳格に処罰していたら、私が聞く範囲でも、その当時の東海大学相模高校の場合、井上康生選手と高校1年生しか残らなかったと思います。それでは…どうしたって、大会では勝ちにくいです。
はっきり言って、当時の…そして今もおそらく続いていると思いますが、「勝つこと」「大会での試合結果」しか考えていない指導者のもとで行われているのは、かつて嘉納治五郎師範が唱えたような〈人間教育〉ではありません。行われているのは〈柔道に名を借りた売名行為〉です。
◇◆◇柔道の「原点回帰」は可能か?◇◆◇
(三上)こういう柔道部員の寮生活からうかがわれる、〈人間教育〉を忘れた柔道のあり方は、どのようにして改善していけるでしょうか。
(A氏)はっきり言ってたいへんむずかしいです。中には、立派な指導者もいますが、私学の場合は、「大会で勝つこと」「大会で名前(学校名)を売ること」が至上命令になってしまって、結局「手段のためには目的を選ばず」のようなありさまになってしまっています。
「大会で名前を売ること」は学校経営者としても、都合がいいのです。強い学校になれば、柔道着メーカーなどのスポンサーもつきます。だから、指導者個人も、組織としての学校も、企業も、みんな「勝利至上主義」に乗っかって突っ走り、それぞれの利益をあげているというわけです。
(三上)柔道強豪校の、そうした暴力容認体質、勝利至上主義…、嘉納治五郎の唱えた〈人間教育〉を忘れた"指導"のあり方、こういった現状を、柔道の本山である全日本柔道連盟(全柔連)は、どう考えているのでしょう。
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(A氏)全柔連の理事クラスの人たちの出身校を見たことがありますか…? A大、B大、C大、D大…とみんな、柔道の強豪校…つまり、今の全柔連のトップの人たちもみんな、学生時代には寮生活の中で、〈神様〉〈人間〉〈アリ〉といった身分制にひたって生活して来たのです。だから、「そういう経験も長い人生においては意味のあることだ」といったことを言う人もいます。集団生活の中で協調性や忍耐力を身につけることは私もおおいに意義があると思いますが、そういう協調性や忍耐力の育成と、陰湿ないじめ、暴力――そして、指導者らがそれを黙認(容認)することとはまったく別の次元のはずです。
(三上)それでは、一部の柔道部に蔓延する暴力体質を、全柔連のリーダーシップで改善していくといった図式はあまり期待できない…ということでしょうか。
(A氏)かなり難しいでしょう。だって、そのいい例が、「柔道ルネッサンス」の取り組みだと思います…。「原点に回帰する」なんて言っておいて、やっていることと言えば、試合会場での「ゴミ拾い」ですから(笑)。
(三上)たしかに、ゴミの持ち帰りには熱心でも、試合会場では選手らが履きものを揃えずにぬぎ散らかす(注:下記【1】記事参照)、暑い時は上半身裸でタオルを首にかけて会場を歩くといった姿が見受けられました。全柔連のトップが、日常生活での立ち居振る舞いを気に懸けない、そういうことにあまり危機意識を持っていないとすれば、これは大変なことですね。
◇◆◇懸念される暴力の連鎖や拡散◇◆◇
(A氏)もう一つの問題が、学生時代に柔道で優秀な成績を収めた人間は、大学卒業後、母校などで教職に就くケースが多いのです。彼らは、高校では特待生として柔道漬けの生活、大学でも柔道漬け、勉強はほとんどせずに進学し、寮生活で身につけた感覚のまま、ろくな社会人経験も無いままに、学校現場で教師としての生活をスタートさせるわけです。
(三上)自分自身が、いびつな上下関係の中で育ち、暴力をふるわれたり、時には柔道の絞め技で仲間が締め落とされて失禁したりするような状況の中で学校生活を送り、そのことへの反省が無いままに、今度は自分が指導者としての立場に立つ――これは、恐ろしいことですね。しかし、そういう柔道選手であっても、赴任先の学校では〈柔道○○大会金メダリスト〉といった称号がもてはやされるわけです。そして、そうした称号の陰で、その人間を形成してきた暴力容認の体質が、今度は一般の生徒たちにも向けられて行くということですね。
またそういう人間が指導する部活動は、どうしても生涯スポーツの観点ではなく、彼自身が経験してきた勝利至上主義になるのは避けられません。指導者自らが柔道部員時代に、年に何回かしか休まなかったのですから、指導する中高生にもそういう感覚で練習を強(し)いることも出て来るでしょう。
多くの柔道事故を見ると、指導者の安全意識に欠ける指導方法や子どもを締め落とすなどの常軌を逸した行動がいくつか見られることがあります。しかし、今日うかがったお話からすると、暴力の連鎖と言いますか、かなり危険な体質(例 暴力体質、隠ぺい体質)が教育現場で常態化していることに危惧を覚えます。
◇◆◇暴力に苦しむ中高生へ◇◆◇
(三上)今日うかがった内容は、一般の人にとってはなかなか想像しにくい世界です。けれども、Aさんが在学していた当時と今とで、そんなに環境が変わっているとも思われません。今も、不可解な〈身分制〉、そして理不尽な暴力に苦しむ中高生がいると思います。そういう中高生に何かアドバイスを頂けませんか。
(A氏)いま思い返して、決定的に重要だと思うのは、事前の学校選びです。私は中3の時に、10数校のスカウトがありました。私の友人Bは、「東海大学相模高校」というブランドにあこがれて同高を選び、高1の秋に中退という結果になりました。私は社会人になってから、仕事上の過酷な環境から、過去に受けた柔道部でのいくつかの経験が引き金となって、パニック障害になりました。うつ病や不眠症となり、自律神経失調症の診断を受けています。
友人Bや私のような事態にならないためには、入る前に、その学校をよく見る(調べる)ことです。いくら特待生として入学出来ても、高校3年間でつぶれてしまっては元も子もありません。学校の要求に果たして自分が応えて行けるのか、よく話を聞き、リスクについても尋ね、道場での練習も見学させてもらうとよいでしょう。特に、指導者の考え方は部のありかたを決定的に左右しますから、監督の立場にある人とも両親などを交えてよく話をすることを勧めます。
(三上)実際に入ってからのことはどうでしょう。
(A氏)本当は、特待生の寮生活そのものを廃止してもいいと思います。特待生制度は残すとしても、全国からそういう優秀な選手をスカウトして来て寮生活をさせ、過密な大会スケジュールに合わせて練習漬けにするというのは、教育的な観点からどうかと思います。
(三上)「教育的観点」ということからすると、例えば駅伝競技でも「勝てばいい」とばかりに、いちばん長い1区に外国人留学生を走らせることが問題となり、最近ルール改正もされました。柔道も、寮生活の是非は考えてもいいですね。さきに記事にした相模原市の相原中学の場合も、近隣の民間道場が、全国から強い中学生を集めて寮生活をさせています(注:下記【2】記事参照)。はたして小学校を終えた子どもたちが、中1の春から柔道漬けの生活を送ることがよいことなのか、やはり慎重な議論が必要でしょう。
(A氏)実際には、すぐに寮生活を廃止することはできません。ですから、学校関係者は、寮内でいろいろな問題が起こり得ることをふまえて、柔道指導者とは違う立場の舎監(寮生活管理人)を設置したり、カウンセリングルームを開設したりするなど、寮で生活する部員たちの精神的ケアや暴力の根絶に向けて真剣に考えるべきです。
(三上)同感です。それから、閉鎖的な組織――これは柔道部でも、企業でも変わりはありませんが――で、孤立して何か発言するというのは勇気のいることで、リスクも伴います。ですから、柔道部内で発言しにくかったら、メディアに対してでもよいでしょうし、とにかく外に向けて声を発することが大切だと思います。誰かが声をあげなければ現場はよくなって行きませんし、最初は小さな声であっても、声をあげることで組織の不正は必ず改善していくことができます。今日は、柔道部の実情について貴重なお話をありがとうございました。
(2011年8月9日、神奈川県内にて)
〔注1〕筑波大学大学院准教授山口香氏は、過密な試合スケジュールと選手について、自身のブログ2010年12月16日付で「選手達の悲鳴」と題して問題提起をしている。
「強化とは、強くするのが目的なはずであるが、今やっているのは、ただ選手達に鞭を打って働かせる悪徳サーカスのようだ。サーカスの動物が無理をして病気になろうと死んでしまおうと、サーカスのオーナーは次を探せば良いのだから一向に構わない。強化に携わっているコーチたちは自分たちも辿ってきた道なのだから、これだけの合宿、試合をこなすことが可能かどうかの判断は容易にできるはずだ。」
「強化選手の中には大学生も多く含まれるが、強化の方針に沿って全ての合宿、大会に参加していたら、まず4年間で卒業するのは無理だろう。オリンピックの代表に選ばれて、その年に限って柔道に専念するということで休学というのはこれまでにもあったが、世界選手権が毎年ある現状では、選手の間は大学に行く時間がないといっても過言ではない。大学側や先生が事情を考慮したとしても間に合うスケジュールではない。」
「選手はベルトコンベアに乗ってくる商品ではない。つぶれたから次がいるというものではない。」
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〔注2〕今回のインタヴューで、井上康生選手のことが話に出たが、井上選手は高校在学中からとび抜けた技量を持ち、また後輩思いで下級生から慕われていたという。A氏の話では、本当に強い選手は、いじめ等は一切せず、鬱屈(うっくつ)した上級生らが下級生に対して、いじめ・リンチの類いを加えていたそうである。井上選手の在学中のことを知る別の人物からは「井上選手が遠征などで居ない時に、上級生からのいじめ・暴力がひどくなっていた」との証言もある。
《関連サイト》
◎全国柔道事故被害者の会
◎以下のサイトで、ながく東海大学体育学部長を務め、現在は全日本柔道連盟副会長として柔道界を支える佐藤宣践氏が、東海大学相模高校の林田和孝7段と全国をスカウトして回ったことを自ら回想している。
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【4】指導者の暴力に苦しむ柔道少年たち
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